相続税対策

相続税の計算方法は決まっているので、相続が発生してから対策をとるということが基本的にできません。相続税対策は事前に考えておくことが重要になります。
相続で考えておかなければならない事は、相続税対策の節税はもちろんの事、相続人同士の争いを起こさないための対策も重要です。そのためには、遺産を分割しやすいように分けておくなどの対策も必要になります。

相続税の申告期限
相続税の申告には期限があり、被相続人の死亡を知った翌日から10ヶ月以内に行うと決められています。したがって、それまでにすべての書類を準備しなければなりません。
基礎控除額
平成27年1月1日以降の相続税の基礎控除額は、3000万円+600万円×(法定相続人の数)になりました(以前は5000万円+1000万円×(法定相続人数))。
また、生命保険の非課税分(500万円×(法定相続人の数の金額))も認められます
ここで、注意しなければいけないのは、養子としてカウントされる人数です。実子がいる場合には、1人分のみ、実子がいない場合には2人分までしかカウントされません。これは、相続対策を目的とした、意図的な養子縁組を防止するために定められています。

法定相続分
保険の活用
相続財産が現金化しにくい不動産などの場合には、生命保険を使うことも有効です。被保険者を被相続人予定者として、受取人を相続人予定者としておけば、被相続人が死亡した場合の死亡保険金は相続人に支払われることになりますので、そのお金で相続税を納付すれば、相続財産をそのまま維持できます。なお、死亡保険金もみなし相続財産となるため課税対象です。ただ、死亡保険金と死亡退職金は、500万円×(法定相続人の数)が非課税になります。なお、保険金の受取人が相続人以外の場合は、贈与税が課せられますので、注意してください。
配偶者贈与を利用する
配偶者への贈与は、結婚して20年以上の配偶者に対して住宅または住宅取得のための資金贈与があった場合、贈与税の計算に際して2000万円を控除する制度です。
110万円の基礎控除もあるので、基礎控除110万円+贈与税の配偶者控除2000万円で合計2110万円まで贈与税はかかりません。
何も考えることなく贈与すると不利益が及ぶ可能性がありますので、専門家と相談して実行に当たっては、タイミングや金額について検討することが重要となります。
住宅取得資金贈与を利用する
最大1500万円までの住宅取得等資金贈与にかかる贈与税が非課税となります。暦年贈与(その年の1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた財産額の合計)の基礎控除額をプラスすることで更に110万の合計1610万円まで贈与税が非課税となります。
対象者は、父母および祖父母(直系尊属)からの贈与で、対象は贈与する年の1月1日に20歳以上の子・孫に限ります。
適用要件は、平成31年6月30日までに契約した住宅取得に適用されます。
教育資金の贈与を利用する
平成25年4月より「祖父母からの教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度」が開始となりました。この制度は、子供一人につき1500万円までの贈与が非課税になる制度です。ただし、注意点としては、子供が30歳までに使い切れず資金が口座に残った場合は、残額に対し贈与税が課税されることとなっています。こちらの制度は、110万円の基礎控除と併用可能となります。
対象となる教育費は『学校の教育費』と『学校以外の教育費』の2つに区分されます。
学校教育費とは、学校に直接支払うものの他に、教材や制服なども対象になりますが、塾や習い事の費用は、指導者に直接支払うもののみが対象となります。
広大地評価を利用する
大きな土地を保有している方は知らなければ損をするのがこの広大地評価です。
大きな土地は『広大地評価の利用』によって評価額が下がる可能性があります。この広大地評価を利用することで、広大地評価を利用しなかった場合と納税額が数百万円から数千万円違ってきます。土地が最大で65%も評価減するため、納税額にも大きな違いが出てきます。
広大地評価を利用できるかどうかは、要件が非常に複雑なため、自分で判断することは難解です。
この制度を利用出来るかどうかで、納税額には大きな違いが出ます。
小規模住宅地の評価減を利用
小規模住宅地等の評価減の特例は、現在住んでいる自宅などを配偶者や子供に引き継ぐ場合の税金負担を軽くするものです。小規模住宅地等は、条件により50%または80%の評価減になります。この条件にあてはまるようにすれば土地の評価額が下がりますから、相続税額も下がります。

小規模宅地等の特例 (国税庁)
土地・建物の評価を下げる
更地の状態の土地がある場合は、そこに建物を建てれば相続税評価額は大きく下がります。特に、アパートやマンションを建設し、人に貸すことは有効です。

土地評価減額要素チェック項目表
負債も相続の対象
相続財産はプラスの財産もマイナスの財産も対象となりますが、負債であるマイナス財産はプラス財産から控除されることになります。
不動産売却の注意点
やむを得ず不動産を売却する場合には、その利益に対して、譲渡所得税や住民税などが課税されます。不動産の保有期間により税率が異なるので、どの不動産を売却するべきかの判断は慎重に行いましょう。
民事信託
老後や相続に備えて、信頼できる家族に財産を託すことです。
今、問題となっているのが”認知症”
先にも書きましたが、相続対策は本人の意思がしっかりしている時しかできません。認知症になってしまうと、成年後見人を立て、財産には一切手が付けられなくなるのが今まででした。そこで、”民事信託”です。
民事信託とは、親(委託者)と子(受託者)が信託契約を結びます。受益者を親とする事で受益権は親になりますが、信託財産は、子に移管されます。
最後に
相続税対策で大事なことは、出来る限り早めに対策をするということです。
時間があればいくらでも対策は考えられますが、被相続人が亡くなってからではやれることは限られてしまいます。
今回の内容は基本ですので、細かい相談は「無料相談」をご利用ください。